七峯の丘から

うれしいひなまつり [令和3年3月3日]

高御座と御帳台
 昨日と一転、澄み渡る青空と北風の佐倉。朝拝の為に境内に出ると寒さに目が覚めましたが、気持ちよく深呼吸が出来ました。
 今日は桃の節句。別名は上巳の節句とも言いまして、上古は3月最初の巳の日にお祝いしたことから3月3日が桃の節句となってからもこの名称が残っております。
 現在は女の子の成長を願う日とされていますが、我が国では田植えを前に祓いをするのが最初とされています。
 この時に使ったのが紙で出来た人形(ひとがた)で、今では大祓で使用しているものになります。
 これを川に流したのが「流しびな」で、紙一枚だったものが段々と装飾が増え、現在の雛人形となりました。
 さて、ひな祭りと言えば頭の中に流れる「うれしいひなまつり」ですね。
 サトウハチローの作詞に河村光陽が作曲。あの何とも憂いのあるような曲調はヨナ抜き音階(五音音階)と用いて短調で作られています。なんとも日本的な名曲ですね。
 歌詞ですがよく知られている間違いがありまして、2番の最初に「お内裏様とお雛様」です。
 雛人形は天皇と皇后の結婚式を表しており、お二人のお住まいは内裏。そして雛とは「小さい」とか「可愛い」などの意味でして、一対の人形を「男雛女雛」というのです。
 ですからお内裏様が男性でお雛様が女性というわけではないのです。
 先にも書きましたが、この間違いに気付いたサトウハチローは終生この曲を好きではなかったそうです。
 しかしながら、今ではすっかりこの解釈が定着しているのは、それだけ「うれしいひなまつり」が私達の中に溶け込んでいると言う事。
 解釈は解釈としても歌い繋がれていく名曲である事には変わらないのです。
 因みに当社の雛人形は結婚式の様子ではなく、天応皇后両陛下の即位礼正殿の儀の御姿。
 お二人のように仲睦まじく有りたいものだと、一対の人形を見ながら思うのです。