七峯の丘から

八重の山吹は株分けで [令和6年4月23日]

「何がメインやら」
 なんだかスッキリしない空模様ですね。今にも雨粒が降ってきそうで、お空の色は薄曇りと言うよりは鈍色。
 午前中に地鎮祭がありましたが、どうにかもってくれました。お空の神様ありがとうございます。
 帰社して、祈祷番を智勇権禰宜と交代。11時半からの初宮詣は昔からの氏子さんで、どうしてもと言うご依頼を頂いたので、宮司自ら御奉仕させて頂きました。
 それから自動車の清祓いも続いて、神社駐車場から境内に戻る際に、目に入ってきたのは東参道沿いに植栽してある山吹の花です。
 山吹には一重と八重が有りまして、当社のものは八重の山吹。八重と言いますからには、結構花びらが多いんですよ。
 社務所に戻って狩衣を脱ぎ、その足で再度東参道方面へ、山吹の画像を撮りに行きました。
 そうしたら、狛猫のトラが花の下で昼寝をしており、丁度起きたところでした。
 宮司、何を迷ったのか、山吹ではなく寝起きのトラの尻尾を撮って戻って来ちゃいました・笑
 山吹と言えば、室町時代に江戸城を築城した太田道灌の「山吹の娘」が有名ですね。
 狩りに出掛けた道灌が突然の雨に見舞われ、1件の農家に蓑を借りたいと訪ねました。
 そうしたところ、対応した農家の若い娘が俯いたまま、山吹の枝を差し出すのみ。
 道灌は怒って「山吹を所望したのではなく、蓑を借りたい」と言ったのです。
 娘はそのままで、どうにもこうにも道灌はずぶ濡れで城に戻ることになりました。
 この話を古老にしたところ、
「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだに無きぞ悲しき」
という平安時代の和歌を紹介。
 「実の」と「蓑」を掛けている事と、蓑の一つも無いほど貧しい状態を表わしているとして、この話を聞いた道灌は己の不明を恥じて、その後は歌道に精進したという内容です。
 実際の所、一重の山吹は実を付けますが、八重の山吹は株分けでしか増えませんで、当社のものも、宮司に就任した20数年前に植えて、それが自然と株分けしていき、今に到ります。
 山吹の娘の話は実話かどうかは定かでは有りませんが、ドラマ製が有って宮司が好きな話の一つです。
 因みに、その舞台となったであろう場所は幾つか候補が有りまして、その一つが新宿区の高田馬場周辺。
 高田馬場駅前には手塚治虫さんが作製した山吹の娘の壁画があります。
 今日は神道青年全国協議会の創立75周年記念式典が明治記念館で開催され、午後から宮司も参列してまいります。
 ながーい懇親会もありますが、遅くならなければ壁画を見てこようかなと思います。仲間がゆるしてくれればの話ですが・笑