七峯の丘から

麒麟 [令和6年6月9日]

「西の脇障子」
 台湾より帰国2日目。今日も朝から大量の洗濯物をやりまして、一段落したところで帰幽二十年の祭典を奉仕して参りました。
 神道式のご葬儀ではお墓の事を「奥津城・奥都城・おくつき」と呼びます。
 佐倉近郊だと公園墓地や一般の霊園にあることが多いのですが、今日はちょっと変わっておりまして、お寺さんの境内でした。
 過去にも何度かお伺いしておりまして、お寺さんの懐の深さを感じました。
 帰社後に境内をまわって目についたのが、御本殿西側の脇障子。ここには麒麟の彫刻がはめ込まれております。
 5月27日付の七峯では東脇障子にはめ込まれている鳳凰の脇障子を取り上げましたね。今日は対のお話しと言うことになります。
 麒麟は鳳凰と同じく獣類の長とされ、鳥類の長とされる鳳凰と対を成します。
 中国の礼記には「王が仁のある政治を行なっているときに現れる瑞獣」で、鳳凰が徳のある優れた皇帝が即位すると現れる事を鑑みると、鳳凰から麒麟の順になるんですね。
 性格は非常に穏やかで優しく、足元の虫や植物を踏むことさえも恐れて、殺生を嫌うとされます。
 彫刻ではその大きさは判り図らいですが、背丈は5メートルくらいですから、一歩歩くにもかなり慎重のはず。このところが仁の政治に繋がるのだと思います。
 麒麟の姿はキリンビールの瓶ラベルでも見ることが出来ますね。正式社名は麒麟麦酒株式会社で漢字です。
 ラベルに描かれている麒麟は確りとした毛が描かれており、その中に「キ」「リ」「ン」の文字が入っているのは有名な話です。
 宮司の小さい頃はビールと言えばキリンがシェア1位で、アサヒビールのスーパードライの出現まで長くその座を守ってきました。
 神獣としても有名な麒麟。社寺には麒麟の彫刻があしらわれたところが沢山有ります。
 東京日本橋には欄干にブロンズ像が飾られていますが、その一つにも麒麟があるんです。
 東京の繁栄を願ってのものですが、昨日と今日行なわれている山王日枝神社の連合渡御では下町地区の町内神輿が中央通りを日本橋まで渡御します。
 そこでは橋の反対側が氏子地域となる神田明神の町内役員さん達が、高張提灯を掲げて出迎えるんですよ。
 この15日には山王日枝神社の例大祭大祭式が齋行され、宮司も参列をさせて頂きます。
 その帰り道でも、日本橋の麒麟さんを見て来ようかな。お直会でオササを頂きすぎないようにしないと・笑