七峯の丘から

紫裾濃胴丸修理へ [令和6年7月9日]

「紫裾濃胴丸全体」

「行ってらっしゃい」
 今日も熱中症アラートが発令された千葉県。当地佐倉も相変わらずに暑いです。
 昨日の神輿倉整理が効いたのか、ぐっすりと眠れまして、まあそれだけ大変な作業だったと言うわけです。
 今日は当社所蔵の千葉県指定文化財「紫裾濃胴丸」を、修理のために搬出する作業がありました。
 この胴丸は明治の初年に佐倉藩最後の藩主である堀田正倫公が、藩の総鎮守である麻賀多神社の大前に奉納した物。
 作製されたのは正倫公の2代前の藩主、正愛公(まさちか)の着具としてでした。
 復古調の大鎧で、藩主の着具に相応しい出来となっております。
 各部の説明書きは甲冑鑑定士の増田明珍家が奉書しており、出自と奉納の経緯も確かなので、昭和29年(1954)3月31日に県指定文化財となりました。
 現在に至るまで数回の調査はしておりますが、大掛かりな修復作業は行なわれておらず、今回は部材を取り外しての初作業となります。
 この事業は千葉県と佐倉市の文化財保存事業指定で、両社から補助金が支出されると共に、当社でも修理費用の一部を負担します。
 請け負って頂くのは横浜市鶴見区に工房を構える西岡甲房さん。これまでも数多くの修復事業に携わり、また復元や模造作製を行なってきた信頼の事業所です。
 保存事業指定は単年度制ですが、工期は1年半掛かるので、令和6年と7年に跨がる予定です。
 予定では令和8年3月に修理完了で佐倉に帰ってきて、同年4月より完成しているだろう新社務所の文化財収蔵庫にてお披露目を予定しております。
 今回搬出をしたのは宮司宅からで、防犯上の理由で約20年前から警備システムが有る場所で保管しておりました。
 それ以前はと言うと、なんと今回解体する神輿倉だったんです。それも大神輿が格納されている倉の更に奥。
 知っているのは当社でも宮司と禰宜までで、倉から出すにも大神輿を搬出しないと出せないといった防犯体制でした。
 新社務所文化財収蔵庫でのお披露目以降は、公共施設への貸し出し以外は、年間を通じて公開する予定です。
 なので、文化財収蔵庫は紫外線対策と空調設備。もちろん警備体制も確りと設計して頂きました。
 紫裾濃胴丸、暫し佐倉の地を離れますが、お城でお殿様の間近にあった時の姿で戻ってきます。
どうぞお楽しみに!!

西岡甲房
https://armor-braid.sakura.ne.jp/index.html